【表参道ARTクリニック】一人ひとりに合わせた治療法を提案する
不妊治療をおこなうクリニックに取材し、治療方針やクリニックの特色などを伺う企画「不妊治療クリニック最前線」。
今回お話を伺ったのは、2021年5月に開院した「表参道ARTクリニック」の二村典孝院長です。
不妊治療において30年以上もの実績と経験をお持ちの二村院長に、クリニックのこだわりや不妊治療の進歩についてお聞きしました。
最先端の設備を完備。開院にあたってこだわったポイントとは?
Q 表参道ARTクリニックを開業するにあたり、こだわったことを教えてください。
表参道ARTクリニックは、これまで30年以上不妊治療に関わってきた自身の集大成のような気持ちで開院しました。
開院にあたり、最先端の設備にはこだわっています。例えば、顕微授精で使う顕微鏡も最先端のものを取り入れていますし、滅菌器もプラズマ滅菌できるものを含む3種類を導入しました。
また受精卵を育てる培養器には、モニターを通して成長観察ができるタイムラプス培養器を採用しています。タイムラプス培養器では、培養中の受精卵を外に出すことなく観察できるので、受精卵にかかるストレスを軽減できるというメリットがあります。
Q 院内の雰囲気やクリニックの立地について、こだわった点はありますか?
院内は、明るく通いやすい空間づくりを意識しました。院内は白を基調とした明るい空間で、待合室にはガラス張りの窓があるなど、開放的な雰囲気となっています。
また当院は、地下鉄半蔵門線・千代田線・銀座線の表参道駅から徒歩1分とアクセスしやすい好立地にありますので、同路線を通勤などで利用されている方にとって、通いやすいのも魅力かと思います。
不妊治療の最前線で活躍してきたからこそ、さまざまな治療法を提案できる
Q 表参道ARTクリニックの特徴や強みを教えてください。
当院では患者さんの身体の状態やご要望、経済状況をふまえ、一人ひとりに合わせたさまざまな治療法をご用意しています。
例えば体外受精では、自然に育った卵子を採卵する「自然周期」、できる限り複数の卵子を採卵する「刺激周期」の両方をおこなっています。また胚移植についても、「新鮮胚移植」と「凍結胚移植」の選択に加え、個々に応じて「初期胚移植」「胚盤胞移植」をご提案しています。
複数のドクターが在籍する大きなクリニックのなかには、治療方針がマニュアル化されていることも少なくありません。一方、当院では1つの方法にこだわることなく、患者さんそれぞれに応じた治療をおこなっているのが特徴です。
Q 二村院長はこれまで、培養業務もおこなうなど、さまざまな経験をされてきたと伺いました。
私はこれまで30年に渡って日本の不妊治療の最前線で治療にあたり、自ら体外受精、顕微授精も⾏ってきました。
今でこそドクターが培養室に入ることはほぼないかと思いますが、当初は培養士という職業が一般的でなく、ドクターが自ら培養をおこなう必要がありました。そうやってゼロから培養について学び経験してきたことが、今も活きていると感じます。
現在も培養士とともに培養室の管理を担当しているからこそ、自分で直接確認した受精卵の状態を患者さんにご説明したり、その状態をふまえたご提案ができるのです。
そのほか学会にも積極的に足を運んでおり、全国各地の先生との交流を通して幅広い知見に触れるようにしています。そういった経験や知見を活かして、さまざまな治療法をご提案できるのは、大きな強みだと自負しています。
「不妊治療、何から始めればいいの?」という方でも安心。継続しやすい料金形態も魅力
Q 表参道ARTクリニックに来院される患者さんは、どんな方が多いですか?
20代から40代まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。平均年齢でいうと、40〜42歳ほどでしょうか。現在の不妊治療では40歳でも妊娠の可能性が十分にあるので、40代で治療を希望される方も多いです。
逆に、不妊治療を始めたばかりの20代の方もいらっしゃいます。「何から始めたらいいかわからない」という方でも、まずは不妊治療について知っていただくところから始めますので、心配ありません。
Q 不妊治療は相応の期間通い続ける必要がありますが、通い続けられるように工夫されていることはありますか?
不妊治療を続けるのが難しくなってしまう大きな理由として、メンタル面と費用の問題があります。
メンタル面の疲弊にどう対処するかは簡単な話ではありませんが、患者さんときちんとお話して納得していただいたうえで治療を進めたり、看護師に気軽に相談してもらえる環境を作ったりと、当院としてできる限りの体制を整えております。
料金設定では、治療費用に加え上限金額を提示するなどの工夫をしています。例えば、胚凍結などは最大料金が決まっていて、支払いが無制限に増えていくことはありません。不妊治療では金銭的な負担が大きくなりやすいからこそ、わかりやすさや透明性に配慮しています。
30年の経験と実績を持つ院長が語る、不妊治療の今と昔
Q これまで長く不妊治療に携わられてきた二村院長は、昨今の不妊治療業界の変化をどうご覧になっていますか?
私が不妊治療に携わるようになった30年前と比較すると、1回の胚移植での妊娠率というのは徐々に上がってきています。
不妊治療を希望される方の年齢が上がっているにも関わらず成果が出ている点をふまえても、不妊治療の技術は向上していると言えるでしょう。
不妊治療で使用される機器の進化や培養技術の発展がその背景にあります。
例えば、かつては顕微授精で卵子を見る際に約400倍までしか拡大できなかったのですが、現在は約1000倍以上拡大することが可能となっています。卵子の極体や紡錘体も確認できるので、損傷を与えることなく、正確に卵子に精子を注入できるようになりました。
また胚凍結が行なわれるようになったことも、妊娠率の上昇に繋がった印象です。
Q 今後の不妊治療業界は、どのように変化していくと思われますか?そのなかで、表参道ARTクリニックとして力を入れていきたいことがあれば教えてください。
将来的に、受精卵にダメージを受けさせない技術やより良い受精卵を選ぶ手段がさらに発展していくと、妊娠までの時間をさらに短縮できる可能性が出てきます。
高齢での妊活では妊娠までの時間を短縮することや受精卵の選択が大事になってくるので、そこには期待したいですね。
ただ、高齢になると卵子を取るのも難しくなってきますし、現状では高齢での妊娠はまだいろいろな課題が残っています。
クリニックとしては、今後も少しでも妊娠率が上がる治療を追求していきたいです。
いろいろな治療法を提案できるのは当院の強みでもありますので、引き続き柔軟に、患者さんにとって最善の方法を提示できるクリニックでありたいですね。
あとは患者さんに十分に納得して頂いた上で治療を進めていくことも、変わらず大事にしたいです。
「諦めずに最善を尽くす」。院長が不妊治療の道へ進んだ理由
Q 二村院長が、不妊治療に取り組まれるようになったきっかけを教えてください。
そもそも医療の道を志したのは、中学生の頃です。家のすぐ隣に小児科内科があったので医療は身近な存在で、「自分も命や健康に通じる価値のある仕事をしたい。そして人の役に立ちたい」と、医学を志しました。
産婦人科専門医を目指したのは、外科として全身を診ることができ、赤ちゃんの誕生に「おめでとう」と言えることに魅力を感じたためです。その産婦人科で偶然にも不妊治療に携わったことが、今の道に進むきっかけとなりました。
不妊治療は、自分の考えや工夫次第で「妊娠」という結果がはっきり出るし、さらに患者さんの役に立つことができる。そこに希望を感じ、不妊治療の研究に力を入れるようになりました。
Q これまで不妊治療に携わってこられたなかで、特に記憶に残っている出来事や、嬉しかったエピソードがあれば教えてください。
やはり、患者さんから嬉しい妊娠報告をいただけたときの喜びは大きいです。なかなか妊娠できなかった方から、赤ちゃんの写真と一緒にお礼のお手紙をいただいたこともあり、そういうときは本当に嬉しく思いますね。
もう1つ印象に残っているのが、不妊治療に携わった初期の頃、初めて自分で採卵から顕微授精で受精、移植までを行い、妊娠成功に導けたことです。その喜びや実感が、不妊治療をずっと続けていきたいと思うきっかけにもなりました。
Q 仕事や人生におけるモットーはありますか?
「諦めずに最善を尽くす」ということです。
もしも不妊治療で1つの方法がうまくいかなかったときは、諦めたりそれをひたすら繰り返したりするのではなく、「別の方法はないか?」と最善策を考えるようにしています。
Q 最後に、二村院長から読者に向けてメッセージをお願いします。
当院では、患者さんそれぞれの状態やニーズに合わせてご相談、ご提案していくという方針を大事にしています。
1つの方法にこだわることなく、柔軟に治療法を検討しますので、初めて不妊治療に臨まれる方はもちろん、これまで不妊治療を経験して「少しやり方を変えてみたい」「違う治療法も試してみたい」という方も気兼ねなくご相談いただければと思います。
「まずはブライダルチェックから」という方もいらっしゃいますので、どうぞお気軽にご来院ください。
表参道ARTクリニック
〒107-0061
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