不妊治療で休暇を!仕事を365日休業できる会社も?企業のサポート制度・福利厚生をご紹介
不妊治療(ART)の歴史は、とある海外のご夫婦のもとに1977年に誕生した体外受精児からスタートしています。
日本ではその6年後、1983年に東北大学医学部付属病院ではじめての体外受精児が誕生しました。
最近では妊活・不妊治療という言葉をよく目にするようになりましたが、どれくらい通院が必要なのか?
いくらくらい経済負担があるのか?
身体への影響だけでなく、心・気持ちにも大きな影響があることがまだまだ世の中に知られていないように思います。
お仕事との両立を考えている方、キャリアアップを考えていて妊活・不妊治療に一歩踏み出せずにいる方、福利厚生として制度導入を検討している方、必見です!
企業が取り入れる福利厚生 妊活・不妊治療へのサポートとは?
病院・クリニックへの通院のための休暇制度や短時間勤務、金銭的な負担を軽減するための補助金制度など妊活・不妊治療と仕事をストレスなく両立していただけるように従業員・社員のために福利厚生として制度を率先して導入する企業が増えてきました。
- 不妊治療休暇
- 手当/補助金制度
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- テレワーク
- 卵子凍結
その中でも、導入時期が2005年と早い企業や卵子凍結の補助を行っているなど妊活・不妊治療にホワイトな企業をピックアップしていきます。
オムロン株式会社
ダイバーシティ&インクルージョン
不妊治療休暇制度
なんと17年前の2005年度から不妊治療休暇制度を導入しています。
こちらは高度な不妊治療を受ける場合に、通算365日まで休暇を取得できるそう。仕事との両立をしている方、キャリアアップを考えている方にはなんとも心強い制度ですね。
不妊治療への補助金
さらにはオムロングループ従業員の共済会With(ウィズ)では、補助金を支給する制度もあるそう。従業員あるいはその配偶者が治療を受けた場合、通算20万円/2年以内まで補助いただけるとか。補助金申請は上司への申請などは不要で、直接共済会に申込みをすることでプライバシーにも配慮してくださっているそうです。
これからも最前線の取り組み、制度導入を続けるオムロン株式会社には期待ですね。
株式会社メルカリ
人事制度「merci box」
妊活の支援
従業員またはパートナーが、高額な費用が発生する不妊治療を行う場合、所得制限や年齢、回数の制限なしで支援を受けることができる制度です。自治体による補助との併用も可能とのことです。
保険適用の治療の場合は、なんと実質負担が0円になるようです。
卵子凍結支援制度
卵子凍結に関する、卵巣刺激、採卵、麻酔、凍結保存、凍結卵子融解、凍結保存延長、検査などの費用を妊活サポートの一環として200万円/子を上限として支援いただけるというもの。2021年5月より試験導入されており、今後の展開に期待です。
0歳児保育支援制度
育休から復帰した社員に対して、子が満1歳になるまでの保育園、ベビーシッター利用に関する費用を10万円/月補助いただけるそう。
妊活、不妊治療、妊娠、出産と育児を経て仕事への復帰までしっかりサポートしてくださっています。
パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
妊活支援のための3つの制度
チャイルドプラン休業制度
不妊治療に専念するために通算365日まで仕事の休みをとれる制度です。無給とはなってしまうそうですが、通院するために丸一日お休みをとれるのは大変有難い制度ですね。
ファミリーサポート休暇制度
通常の年次有給休暇とは別に、不妊治療を目的に5日/年のお休みが取得できる制度です。その他、配偶者の出産、家族の看護、子供の学校行事への参加といった目的でも取得することが可能です。
カフェテリアポイント制度
旅行、英会話などの習い事、貯蓄等、自分の好きなことに8万ポイント/年(8万円相当)を使える制度です。
一見、不妊治療への福利厚生と関係あるの?と思いますが、実は2019年度から不妊治療も項目に加わり、奨学金の返済、子どもの入学費用など範囲が広がったそうです。
福利厚生で不妊治療サポートを検討している人事担当さん必見!
最大57万円を支給!両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)
厚生労働省では、不妊治療と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を導入した中小企業事業主に対して、最大57万円を支給する両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)*1を公募しています。
支給対象となる事業主
次のいずれか又は複数の制度を導入し、労働者に利用させた中小企業事業主
- 不妊治療のための休暇制度(多目的・特定目的とも可)
- 所定外労働制限制度
- 時差出勤制度
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- テレワーク
申請のステップ
両立を支援する旨の企業トップの方針の周知⇒社内ニーズ調査⇒就業規則等の規定の周知
⇒両立支援担当者の選任⇒労働者のための「不妊治療両立支援プラン」の策定
支給額
A「環境整備、休暇の取得等」
最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用。
28.5万円(生産性要件を満たした場合、36万円)
B「長期休暇の加算」
Aを受給し、労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得。
28.5万円(生産性要件を満たした場合、36万円)
仕事と妊活・不妊治療の両立を当たり前に
仕事との両立をしながら妊活・不妊治療をされている皆様と、社員・従業員のサポート支援として福利厚生制度の導入を検討している企業の皆様へ、各企業が取り入れている妊活や不妊治療をサポートする制度や福利厚生、取り組みをご紹介しました。
福利厚生での卵子凍結の未来
米国では、卵子凍結技術の進化により2万件/年の卵子凍結が行われています。そのため米国の大手企業の多くが卵子凍結を福利厚生として導入しています。
日本の企業で卵子凍結を導入している企業はまだ少ないので、今後に期待したいですね。
<参照>
*1 : 厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために」